50代までの人間関係で人生の幸福度が決まる

「幸せな人生を送るために必要なものは何だと思いますか?」

そう聞かれた時、あなたは何と回答しますか?

「高収入な仕事を得ること」
「財産を蓄えること」
「お金持ちと結婚すること」
「周囲から羨まれるような家庭を築くこと」
「名誉を得ること」
このような回答をする方が多いのではないでしょうか。

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しかし、ハーバード大学の有名な機関「成人発達研究」の責任者であるロバート・ウォールディンガーは、長年の研究から「人間の幸福に大事なのは富や名声ではなく、人間関係である」と結論付けています。

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ハーバード成人発達研究での調査内容

ハーバード成人発達研究では、約80年にわたり、成人男性約700人を2つのグループに分けて、彼らの心と体の健康を追跡し、「幸福と健康の持続に本当に何が必要なのか」を探索してきました。

調査対象の1つは、1938年当時ハーバード大学の2年生だった男性268人で、もう1つは、ボストンの最貧地区に住む男性465人です。

参加者は定期的に、配偶者との関係や仕事の状況などについてアンケートに答えたり、健康についての情報を提出したり、研究者との面談を行ってきました。

健康で幸福な人生を送れる人は、良好な人間関係を構築できている人

この研究で明らかになったことは、「健康に、そして幸福に年を取るためには、周囲の人と良い人間関係を構築することが最も重要である」ということです。

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研究結果から以下のような事が明らかになりました。

1.良好な人間関係を築けている人は、幸せで健康的である
「孤独な人と比較して、家族や友人と繋がっている人ほど幸せで健康的で、長生きする」そして、「孤独は害である」という研究結果が証明されました。

2.「周囲との繋がり」で重要なのは、人数ではなく質である。特にパートナーとの関係は重要である。

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調査の結果、「友人の数の多さや配偶者の有無とは無関係に、身近な人たちと質の高い人間関係を構築できた人は、健康を維持する割合が高い」ということが明らかになりました。
また、若い時の人間関係の満足度と、老後の過ごし方には関係があり、50歳で最も幸せな人間関係にいた人が、80歳になっても一番健康でした。
中でも特に、パートナー共に幸福だと感じていた人たちは、身体的苦痛があっても精神的に幸福だと感じている、という結果が出ました。


3.良い関係は身体の健康だけでなく、脳をも守ってくれる

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何かあったとき、本当に頼れる人がいると感じている人の記憶は老後になってもハッキリしており、パートナーを信頼していない人は、記憶障害が早期に現れることが明らかになりました。
逆に、悪い人間関係や孤独は致命的である、という結果が出ています。


幸せな人生を送るために

幸せな人生を送るためには、名声や富や業績が必要だと思われがちです。
そのために時に家族を犠牲にしてでも仕事を優先したり、会社で仲間を出し抜いてでも上に行こう、としている人も少なくないと思います。
しかし、80年に及ぶ研究で明らかになったことは、「最も幸せで健康な人生を過ごせた人は家族、友人、コミュニティで、良質な人間関係を構築してきた人」ということでした。

大切な人と食事をしている時に仕事のメールや電話をしたり、
親友に会う約束をキャンセルしてまで残業をしたり、
週末子供と遊びにいくことを止めて休日出勤をしている自分に気付いた時は、
「幸福な人生を送るために必要なものは何か」ということを思い出してみてください。

良い人生は良い人間関係でできているのです。